資本効率性の優れた様々な仕組みを模索するDeFiプロジェクトの動向

資本効率性の優れた様々な仕組みを模索するDeFiプロジェクトの動向

前回のコラムではDeFi(分散型金融)の重要な動向として、AMM型分散型取引所が資本効率性の優れた新しい仕組みに移行を始めていることを述べました。

■関連:DeFi(分散型金融)の重要なトレンド 資本効率性の高いAMM型分散型取引所の模索

しかしDeFiで資本効率性を追求しているのはAMM型分散型取引所だけではなく、さまざまな場面でも見られています。これらもDeFiの重要なトレンドの1つです。

LPトークンを担保にした貸借マーケットの登場

例えば、クリーム(CREAM)ではさまざまなLPトークン(特定のAMM分散型取引所で流動性提供をしている証書)を担保にして借り入れを実行できるようになりました。このようなLPトークンの有効活用はさまざまなプロトコルで部分的に採用され始め、アーベ(Aave)やメイカーダオ(MakerDAO)でも取り入れられ始めてます。これによってユーザーは流動性提供をする手数料収入を得ながら、その資産を担保にして別の資産の借り入れが可能になります。

Aaveの事例を見てみましょう。Aaveはコンパウンド(Compound)と同じくレンディングプロトコルです。ユーザーは「差し出し担保資産×担保率 > 借入資産」が守られる限りにおいて、Aave上でサポートされているトークンを自由に借入することが可能です。プラットフォーム上で担保資産として使用できる暗号資産は一般に最低限の信用を持っているものに限られ、そうでないものは担保資産として使えないか、Loan to Value(借入負債/担保資産、以下LTV)が低く設定されており100%の資産に対して40%の借入ができるような措置が取られています。

例えばUSDTはCompoundでもAaveでも担保資産としては使うことができません。これはUSDTを発行するテザー(Tether)社がUSDTの裏付けとなる資産を所有しているかが疑わしいためです。

担保資産としてはイーサリアム(Ethereum)のネイティブトークンであるETHやビットコイン(BTC)をラップしたWBTC、USDC等が使われることが多いです。最近AaveはUniswapやBalancerのLPトークンの担保資産としての利用を許可しました。すべてのLPトークンが利用できるわけではなく、WBTC/ETHなどメジャーなペアのみが対象となっています。

複数のプロトコル・スマートコントラクトをラップしたプロダクト

他の事例ではさまざまなプロトコルをラップして金利が生まれるトークンを生成するプロダクトも増えました。BadgerDAOのibBTC(Interest Bearing Bitcoin・金利がもらえるビットコイン)はその1つです。ibBTCはbyvWBTC、bCrvRenWBTC、bCrvRenWSBTC、bCrvtBTCのいずれかを元に生成するトークンです。

bCrvRenWBTCはCurveのrenBTC-WBTCプールのLPトークンをBadgerのVaultsに入れた際の債権トークンです。それを元にibBTCを発行します。

ibBTCの裏側にあるアセットが収益を稼ぐため、ibBTCは金利がもらえるビットコインとして機能します。金利の源泉となる収益は以下です。

  • Curveの手数料収入
  • ファーミングしたCRV
  • ファーミングしたBDG

これらは魅力的な収益機会をユーザーにもたらしていることは間違いないですが、その裏側にあるスマートコントラクトが多重になっておりリスクは大きくなっています。

このようなプロトコルが増えてエコシステム全体でリスク許容度が高まっていることは否めなせん。利用は極めて注意しながら、失っても良い資金の範囲で触ってみるべきでしょう。

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