2021年3-4月上旬の暗号資産市場と世界の金融市場動向

2021年3-4月上旬の暗号資産市場と世界の金融市場動向

本コラムでは2021年3-4月上旬の暗号資産市場と世界の金融市場動向を振り返ります。最近では暗号資産市場には伝統的な金融機関やファンドも参入して、株式市場をはじめとした世界の金融市場も俯瞰しながら見ることが重要になっています。

鈍化した機関投資家の購買意欲

年度末に当たる3月、ビットコイン(BTC)は第一週は50,000ドルを中心とした上下を繰り返しました。米国株との連動、金利の上昇に対して敏感な反応が顕著でした。特に3月5日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)前の金利上昇局面では、47,500ドルまで下落しました。その後は金利上昇一服、株価同様、大崩れすることなく50,000ドルの大台を超え、3月13日には新高値を更新。3月は下落するパターンが多いため心配する声もありましたが、3月14日には61,468ドルまで上昇しました。

1年前の2020年3月12~13日は、コロナショックから金融市場が前代未聞の暴落を引き起こし、ビットコイン価格は24時間で約45%下落、4,000ドル程度まで下落したため、この1年でビットコインは約15倍と驚異的なパフォーマンスとなっています。

その後は米暗号資産取引所に10億ドル相当のビットコインが入金されたことで大きく下落する等、3月後半に入ってからはスピード調整の下落局面が多く見られました。3月25日に50,000ドル付近まで下落しましたが、割り込むことなく反発しました。徐々にボラティリティは低下しており、今後は安定した値動きが期待されます。ボラティリティ低下の要因としては、NFTの盛り上がりにより、投機的な資金がNFT市場に流入し、ビットコインを始めとした大型コインへの資金流入が減少しているためと考えられます。

2月に資金流入が低迷したグレイスケール(Grayscale)のビットコイン投信は3月さらに低迷。小幅ながら流出が全営業日続き、BTC-GBTCのプレミアムはマイナスを常態的に維持しています。Grayscale投信だけを見て判断することは危険ですが、機関投資家の購買意欲は低い状態が続いていると考えられます。一方で、米給付金配布による個人資金の流入が期待されますが、経済活動が再稼働しつつある現在においては、バケーション等の通常の消費に向かいやすく、昨年ほど暗号資産を含めた金融市場への資金流入は期待しづらいと見ています。
Grayscale Investments BTC Premium Rate
参照:bybt.com

イーサリアム(ETH)の価格は、3月13日にビットコインがATHを更新したタイミングでも2,000ドル手前で反落、調整局面では1,550ドルまで下落するなど、ビットコイン価格に対して総じて劣後する結果となりました。背景としては、ガス代の高騰が続いていること及びこれまでDeFi(分散型金融)関連に流入していた資金がNFT市場に流入していることと推測しています。

暗号資産市場堅調の最大の原動力は、世界各国の大規模金融緩和

暗号資産市場堅調の最大の原動力は、引き続き世界各国の大規模金融緩和、積極的な財政支援であると考えています。

米連邦準備理事会(FRB)は、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2021年の成長率見通しを前回(2020年12月)対比大幅に上方修正しました。またパウエルFRB議長は、長期金利上昇について、市場の秩序を乱す動きを注視する姿勢を示すも、緩和的な金融環境は維持されている旨の見解を示しました。米長期金利(10年国債利回り)は、ワクチン普及や経済対策により米景気回復が加速するとの見方などから上昇基調となる中、利回り曲線のスティープ化が進展しました。

株式市場の物色動向をみると、コロナワクチン開発・普及への期待が強まった昨年秋以降からのグロース優勢トレンドから転換が見られました。米国金利の上昇から、テスラ株を筆頭にグロース株は売られ、バリュー株に物色がシフトしました。これらは期待されていた動きであり、グロースからバリューへのシフトが行われる中で、株式市場全体を表す指数が高値圏を維持できていることは歓迎すべきと考えています。

3月下旬には金利上昇に対し、株式市場・暗号資産市場ともに慣れが見られ、耐性が作られつつあると考えます。市場の不安を表すVIX指数は月初で27程度から、月末時点で19.4と低下を続けています。コロナショック意向、VIX指数が20以下まで下落することは初めてであり、市場は経済の再始動を織り込んでいると考えます。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

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