著名投資家のレイ・ダリオ氏が指摘するビットコイン(BTC)の最大のリスク
ヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で著名投資家のレイ・ダリオ(Ray Dalio)氏が、ビットコイン(BTC)に関わる見解を示したペーパーを2021年1月に公表しました。同氏は投資家として圧倒的な実績があるばかりではなく、歴史にも造詣が深い知識人として認識されています。
レイ・ダリオ氏のビットコインの見解とは?
ダリオ氏はこれまでビットコインに対して否定的な態度をとってきました。しかし、今回公表したペーパーでは通貨のようなアセットを技術で表現していることに対して、驚くべき発明であると評価しました。
一定の評価はしているものの、ダリオ氏はビットコインに強気というわけではありません。むしろ正確に学習を重ね、さらなるリスク調査段階にあるいうべきような見解を示しています。本コラムでは同氏が指摘するビットコインの最大のリスクについて取り上げます。
なお、ペーパーの原文はこちら「What I Think of Bitcoin」から閲覧できます。また、有志による日本語訳もこちら「レイダリオ からみたビットコイン」で読めるのでお勧めです。
「ビットコインの最大のリスクは、成功すること」
ダリオ氏はビットコインの最大のリスクは、成功することであると表現しています。政府がプライバシーを侵害したり、ビットコインの使用を阻止したりするというのは決して大袈裟な話ではなく、ビットコインが成功すればするほど、その可能性は高まるとしています。
歴史や思想に造詣の深い同氏のこれらの見解は非常に含蓄のある指摘であると感じています。確かにビットコインは高度に分散化されたネットワークであり、政府はそのネットワークをシャットダウンすることはできません。しかし、ビットコインと法定通貨の交換を制限したり、暗号資産取引所の運営を法律で禁止したり、小売店でのビットコイン支払い受付を禁止したりすることは可能です。
政府にはそうした制限をするインセンティブは常に生まれうるし、また歴史を振り返れば似たようなことはいくらでもあったことを認識しておくべきと言えます。
楽観的な理由
筆者はダリオ氏の指摘に対して楽観的です。2013-16年の時点では、ダリオ氏と同様にビットコインの最大のリスクは成功することだと思っていました。ただしこれはある条件によって回避できると考えています。
それは最も強い国力を持つアメリカ国内に沢山のビットコインがあることです。そうすればアメリカ政府はビットコインを禁止する理由は緩和されます。価値のある資源が自国に存在して、他国に対して競争力を持っていれば、それを制限する道理はありません。
そして昨年からアメリカの機関投資家がビットコインを大量に買い始めて、今は恐らくビットコインが世界中で最も保管されている国がアメリカです。これは一極集中という観点では複雑ですが総合していい傾向です。
恐らく、2016年以前は中国に最もビットコインが保管されており、この点においては良い傾向にありませんでした。しかし、今はアメリカのトップファンドや大学や地方自治体までポートフォリオの一部をビットコインで持ち始めています。
もし10年後くらいにアメリカ政府がビットコインの禁止を検討する噂が流れれば、それなりに政治力持った金融機関が大反対するでしょう。ビットコインはそういう種類のアセットになろうとしていおり、これらの理由から個人的にはレイ・ダリオ氏が指摘する最大のリスクには楽観的です。
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